ぱぐ徒然ろく

獣医×副業ブロガー│本業、育児、ブログの葛藤を綴っていきます。

愛犬の"前庭疾患"で慌てた話(0-1日目)

シャワー中に、突然母からの電話。我が家の愛犬は諸事情により私ぱぐの実家で過ごしておりまして。愛犬が何やら今までにない感じだから来てほしい、と。聞いたところによると、突然の嘔吐に始まって、変な歩き方をしているのだとか。ビデオ通話で映してもらったところ、意外と死相は出ていない。晩ごはんを済ませてそちらに向かうと伝えて、大慌てでご飯をかきこみ、お泊まり支度を整えて実家へ。

中毒?脳炎?神経疾患?聞いただけでは何の病気かさっぱり不明。

到着後、私が目にした症状は以下の通り。

  • 足がもつれたように歩く/まっすぐ歩けない
  • 頭が右方向に傾いたまま戻らない(斜頸)
  • 眼球が横一方向に揺れる(眼振)

嘔吐はすでに落ち着いたあとでした。上記の症状は今までに出したことがなく、緊急事態であることは間違いなく、すぐさまかかりつけに電話。留守電に事情を伝えて、折り返しを願いつつ、他の病院にも電話。私の先輩獣医が小動物の臨床経験を持っているのでそこにラインしつつ、そのかたわらで夫も片っ端から電話を掛けまくりました。

幸い、かかりつけの夜間対応で診てもらえることに。症状は相変わらず。

なんやかんやあって、かかりつけの動物病院からの折り返しがあり、ご近所なのですぐさま病院到着。診察台に直行し、愛犬の体重は13.7kg。日本に到着したころからすると痩せたな〜と思いつつ(フィリピン生まれです)、診察は眼振の確認と胸の聴診だけでした。

そこで告げられた病名は"突発性(特発性)前庭疾患"。病気の症状で近いものは、いわゆる人間でいうところのメニエール病みたいなものだそうで、三半規管で炎症が起こるとなるのだとか。厳密な原因は分かっていないが、老犬に多いことは知られている。突然起きるのも特徴の一つで、ほとんど前兆がないそう。ステロイドと吐き止めの注射をして、翌日以降の飲み薬(ステロイド)を処方してもらい、無事帰宅。

斜頸(右)状態の後ろ姿

とりあえずの診断は突発性/特発性前庭疾患

突発性/特発性前庭疾患は、平衡感覚を司る前庭神経の異常でバランス感覚がいかれる病気

人を含め、多くの動物の耳は外耳・中耳・内耳の3部分に分かれており、内耳は

  • 蝸牛(カギュウ):外耳で受け止め、中耳で増幅させた音の振動を電気信号に変換して       脳に伝える部分;聴覚に関わる器官
  • 三半規管:うずまき管の一部で、回転方向や速さを認識;平衡感覚をつかさどる
  • 前庭:うずまき管の一部で、重力方向や傾きを認識;平衡感覚をつかさどる

原因は不明だが、老犬に多いことから加齢は一要因であることに間違いない。

今後の治療方針

前庭や三半規管の炎症で病気が生じることも多いため、ひとまず炎症止めとして弱めのステロイドプレドニゾロン)を3日分処方してもらい、症状の観察をしつつ、再診のときに今後どうしていくかを判断、ということになりました。

ステロイドも長期投与はできないはずなので、そのあとはひたすらマッサージとリハビリということになるのかな・・・。今のところ愛犬が歩けるイメージが全く湧いてません。どれぐらい改善するんだろう。

おわりに

愛犬は今12歳。人でいうところの初老はもうとっくに過ぎたかなという年齢。今までは大病もなかったけど、加齢によるトラブルはちょこちょこ出てくるのだろうな〜としみじみ感じました。あーヒヤヒヤした…😞